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トマト(Tomato)

【病害】わが国では50種ほどの病害が確認されているが、普通、圃場でみられるのは10種程度である。そのうち、広く分布し、被害の大きいのは青枯病とモザイク病であり、致命的大害を受けることもある。このほか疫病、葉かび病、輪紋病、灰色かび病、尻腐病などが多い。また、近年かいよう病、褐色根腐病、レースJ3菌による萎ちょう病などが問題になっている。青枯病、苗立枯病など土壌病害は土壌消毒をするよう心掛ける。また、尻腐病、日焼病のように土壌の乾燥に起因する病害に対しては耕土の深いところを選ぶようにする。葉かび秒など地上部の病害は有機硫黄剤などで防除できるが、モザイク病は媒介昆虫のアブラムシの駆除をせねばならない。トマトは銅に対する抵抗性は強いが、石灰に対しては薬害を起すことがあるから注意しなければならない。

作物 病害虫 病害虫名 学名 英名
  発生と生態
トマト 病害 葉かび病 Cladosporium fulvum Leaf mold
photo 発病適温20〜25℃ぐらい。主として葉に発生する。ふつう下葉から発生して上葉におよぶ。はじめ葉の表面の一部がわずかに黄変し、その裏側に灰白色、輪郭不明瞭な病斑を生じ、灰白色のビロード状のかびを密生する。ビロード状のかびはしだいに褐色、灰紫色と濃くなり、病斑は拡大して円形または葉脈に囲まれた不正形となる。
トマト 病害 輪紋病 Alternaria solani Early blight
photo おもに葉を侵すが、葉、葉柄、果実も侵す。葉でははじめ、暗褐色、水浸状の小斑点を生じ、のちに拡大して楕円形〜紡錘形になる。病斑の周囲は黄変し、病斑には明瞭な輪紋がみられる。葉柄、茎、果実にも同様な病斑をつくりのちに拡大して、灰褐〜灰白色となる。
トマト 病害 灰色かび病 Botrytis cinerea Gray mold
photo 果実、花弁、葉などに多く発生するが、幼苗では茎にも発生する。幼果では開花の終ったしぼんだ花に侵入し、ついで幼果に広がり、幼果全体が灰色のかびでおおわれる。未熟果では被害部は水浸状となり、表面に灰色のかびを生じて軟腐する。葉ははじめ先端などに褐色病斑を生じ、拡大して周囲の幼柄に広がり褐変、枯死する。
トマト 病害 疫病 Phytophthora infestans Late blight
photo 葉や果実を侵す。低温のときは葉に発生しやすい。葉はふつう下葉から発生し上葉におよぶ。はじめ不規則な湿潤性灰緑色病斑を生じ、しだいに拡大して暗緑色の大形病斑となり健全部との境は白緑色となる。果実は緑果が侵されやすく、輪郭不明瞭な褐色のヤケド状病斑を生じ、のちに拡大して暗褐色となり、くぼみ、軟腐する。茎は湿潤性、暗褐色病斑で、のちにくぼみ折れやすくなる。
トマト 病害 苗立枯病 Rhizoctonia solani Damping-off
 苗床で発生する。はじめ幼苗の地際部が褐色となってくびれ、ついには苗は枯死する。病原菌は菌糸また菌核の形で土壌中で越年し、翌年これによって伝染する。
トマト 病害 白絹病 Corticium rolfsii Southern blight
 初夏から夏にかけて高温時に発生する。主として茎の地際部に発生する。被害部は白色絹糸状の菌糸でおおわれ、のちにその部分になたね粒大の淡褐〜濃茶褐色の菌核ができる。このようになるとトマトは萎凋する。
トマト 病害 半身萎ちょう病 Verticillium dahliae Verticillium wilt
photo なすの病害」の項参照。
トマト 病害 萎ちょう病
(レースJ1菌、レースJ3菌)
Fusarium oxysporum f.sp.lycopersici Fusarium wilt
photo 導管病で苗にも発生するが本圃に移植後発生したものに被害が大きい。下葉は黄変、新梢は萎ちょうする。根は暗褐色になって腐り、茎の維管束は褐変している。一般に青枯病に似ているが青枯病のような白色の汚汁液は分泌しない。梅雨明け〜初夏と秋に発生が多い。レースJ1菌による萎ちょう病は夏秋トマト、レースJ3菌による萎ちょう病は促成または半促成栽培で発生する。
トマト 病害 青枯病 Pseudomonas solanacearum Bacterial wilt
 発病適温20℃前後。トマトのもっとも恐るべき導管病病害で、全国各地に発生し、とくに暖地で被害が大きい。日中急に地上部全体がしおれ、曇雨天の日や朝夕は一時回復するが、のちにしおれたままとなり青枯れ状態となる。茎を切断すると維管束は褐変し、導管から乳白色の汚汁液を分泌する。細根は褐変し、腐敗消失する。一般に九州南部で5月下旬頃から、そのほかでは6月頃から発生が始まり盛夏にかけて多発する。
トマト 病害 かいよう病 Corynebacterium michiganense pv.michiganense Bacterial canker
 トマトの全生育期間を通じ発生する。茎が侵され黄変し、のちに中空となる。茎の片側のみが侵されると、侵された側に曲ったり倒状する。また、局部的に潰瘍を生じたり、縦にさけることがある。葉は下葉の葉縁から巻上り枯死する。梅雨が長びき降雨量が多いと多発しやすい。
トマト 病害 モザイク病 Cucumber mosaic virus Mosaic
 苗床から発生するが、初夏から圃場に多い。ウイルスの種類により、CMVは小葉が糸葉になり、TMVでは結実が悪く不正形となったり、葉に濃淡の斑紋ができ、生育不良の場合や、葉に不正形、多角形の壊死斑を生じ、若いトマトはよく枯死する場合がある。

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