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うり類(Cucumber, Melon and gourd family)

【病害】わが国のうり類の病害で全国的に発生し被害の大きい病害は、べと病と炭そ病である。このほか、うどんこ病、つる割病、つる枯病、疫病、立枯性疫病、灰色かび病、斑点細菌病などが目立っている。多くの被害は有機硫黄剤で防除できるが、ハウス・温室では支柱やフレームの框木なども消毒するよう心掛ける必要がある。また苗立枯性病害、つる割病、白絹病などは土壌消毒を行う。

作物 病害虫 病害虫名 学名 英名
  発生と生態
うり類 病害 炭そ病 Colletotrichun lagenarium Anthracnose
photo 発病適温23℃前後。6月ごろから発生しはじめ収穫期までみられるが真夏には弱まる。茎葉、果実を侵す。葉は、はじめ黄色小病斑ができ、拡大して褐色円形となり同心輪紋を生ずる。子葉は黄白色円形の病斑で、のちに鮭肉色の粘質物を生ずる。茎には黄褐色で縦に長いへこんだ病斑ができる。カボチャでは果実の被害が大きく、果実に黒〜黒褐色、輪紋のあるくぼんだ病斑をつくる。
うり類 病害 黒星病 Cladosporium cucumerium Scab
photo 露地のまくわうりに発生することもあるが、施設栽培、トンネル裁培のきゅうりに多い。普通若い茎葉や幼果を侵す。幼果では暗緑色のへこんだ病斑を生じ萎縮する。巻ひげもしばし侵される。大きくなった果実では湿潤状の円〜不正円形病斑をつくり、すす色のかびを生じ果実は曲がったりしわができる。成熟果ではヤニをだす。葉や茎ははじめ湿潤状を呈しのちに褐〜黒色になって枯れる。
うり類 病害 べと病 Pseudoperonospora cubebsis Downy meldew
photo 気温が20℃前後の湿度の高いとき、特に梅雨の時期に発生しやすく、きゅうりに多い。葉のみを侵し、ふつう下葉から発生して上葉におよぶ。はじめ淡褐色の小斑点ができ、のちに拡大して葉脈に囲まれて多角形となる。このような病斑の裏面に暗灰色のかびができている。病斑は古くなると黄色〜淡褐色に変わりやぶれやすくなる。
うり類 病害 褐斑病 Corynespora melonis Corynespora leaf spot
photo 冷涼な多湿環境の6〜10月に発生する。葉の表面に褐色の丸い境界明瞭な小斑点があらわれ、後班点は大きくなって径10〜30mmに達することもある。病斑は黄色〜灰色〜淡褐色となり、後破れる。病斑は葉脈に囲まれて不整多角形となりこともあるが、べと病に比べると丸味がある。葉の表面に灰褐色のかびが発生する。
うり類 病害 うどんこ病 Sphaerotheca fuliginea Powdery mildew
photo 露地栽培ではおもに生育末期に発生するが、施設栽培では発生が多く、その被害も大きい。おもに葉に発生する。茎、果実にも発生する。葉では葉表、葉裏両面に白色の粉末ができ、のちに灰色となる。秋になるとこの上に小さい黒点ができる。
うり類 病害 灰色かび病 Botrytis cinerea Gray mold
photo 花、幼果、葉に発生する。しぼんだ花の部分から発生し灰色のかびを生ずる。幼果は黄褐色となり柔らかくくさる。葉は下葉に出やすく葉縁近くに灰褐色大型病斑ができる。ハウスで12〜4月に発生が多い。
うり類 病害 菌核病 Sclerotinia sclerotiorum Sclerotinia rot
photo きゅうりやメロンに発生し、茎、果実、葉を侵す。茎では被害部は水浸状となり軟化し、のち乾固する。果実は多く花落部から侵され軟腐し、茎、果実とものちに灰白色のかびがはえ黒色の菌核をつくる。葉は淡褐〜灰白色の大型病斑ができる。ハウス、温室に発生が多い。
うり類 病害 つる枯病(黒斑病) Mycosphaerella melonis Gummy stem blight
photo 発病適温20〜24℃ぐらい。葉、茎、果実に発生する。盛夏の雨の多い時発病力、伝染力が旺盛で、きゅうりでは多くは地際部の茎や分枝か所が侵される。病斑部の表面に小黒粒を密に生ずる。メロンではビョウハン不明瞭、節の病斑からはヤニがでる。
うり類 病害 つる割病 Fusarium oxysporum Fusarium wilt
 発病適温24〜27℃ぐらい。土壌伝染性病害で、着果しはじめたころ多く発生し、罹病株は収穫皆無となる。はじめ下葉が萎ちょうし夜間回復するがついに枯死する。初期は茎の外観は変わりないが、切断してみると維管束は褐変している。株全体が萎凋するころには地際部から30cmぐらいまで外部も褐変し、かびやヤニがみられるようになる。根はアメ色に変色して腐っていく。
  きゅうり f.sp.cucumerinum  
  すいか f.sp.niveum  
  まくわうり、メロン、しろうり f.sp.melonis  
うり類 病害 苗立枯病 Pythium debaryanum, P.cucurbitacearum, Rhizoctonia salomi Damping-off
 発病適温17℃前後。幼苗の地際部が水浸状となり、軟化倒状し、のち萎ちょう枯死する。晴天の場合はいわゆる腰折れとなるが、降雨の続く天候では軟化腐敗する。苗床、とくにフレームものに発生が多い。
うり類 病害 疫病(立枯性疫病)   Phytophthora rot
 発病適温24℃前後の多湿時。茎葉や果実を侵す。苗床から収穫まで発生し、苗床では立枯をおこす。茎葉、果実は同じような病徴を示す。はじめ暗緑色水浸状の病斑を生じ、のち軟腐するが、葉では乾燥すると淡褐色になり、乾枯して破れやすくなる。果実はのちに白色のかびを生ずる。茎は地際部が侵されてくびれ、ひどくなると萎凋枯死する。
  きゅうり、まくわうり、しろうり、メロン Phytophthora melonis  
  かぼちゃ P.capsici  
  すいか P.drechsleri  
うり類 病害 斑点細菌病 Pseudomonas syringae pv.lachrymans Bacterial spot, Angular leaf spot
photo 主としてきゅうり、メロンの子葉、茎葉、果実に発病する。葉にはじめきわだって小さい茶色の斑点を生じしだいに拡がって径3mmほどの葉脈に囲まれた多角形の病斑をつくる。果実は果皮の内側にも褐色の病斑を生じ腐敗をおこす。春秋の比較的気温の低い時期に多い。
うり類 病害 褐斑細菌病 Xanthomonas capestris pv.cucurbitae Bacterial leaf spot
 メロン、すいか、かぼちゃに寄生する。主として葉、果実に発生する。葉では苗の時から発生し、先ず子葉に黄色の小斑点、後中央部が褐色で周囲が黄色でややへこんだ病斑となる。成葉では黄色の小斑点、次第に拡大して褐色の円形〜角型の病斑となる。古くなると病斑は破れ易くなる。病勢が進行すると病斑は互いに融合し不整形となり、葉縁から枯死する。幼果や未熟果にも発生し、緑色小浸状の小斑、後には果実の肥大とともに不整形となりコルク状化する。

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