▲ 農業図鑑目次
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かんきつ類(Citrus)

【害虫】みかんの害虫は非常に多種にわたるが、全国的に被害の大きいのはカイガラムシ類、ミカンハモグリガ、ハダニ、ハマキガ、ゴマダラカミキリ、チャノキイロアザミウマなど約30種である。カイガラムシのうちでは、ヤノネカイガラムシ、ムビーロウムシ、イセリアカイガラムシ、ナシマルカイガラムシ、ツノロウムシなどが重要である。ダニ類にたいしては、同一の殺ダニ剤を繰り返し使わずに種類の異なる殺ダニ剤を散布するのが効果的であり、ミカンハモグリガ、アブラムシ、コナジラミなどほとんどの害虫は、有機燐剤の散布が有効である。

作物 病害虫 病害虫名 学名 英名
  発生と生態
かんきつ類 害虫 ヤノネカイガラムシ 半翅目 Unaspis yanonensis Arrowhead scale
photo 年2〜3回の発生。受精した雌の形で越年する。果実、葉、枝に寄生する。雌成虫は体長3mm位の細長いカイガラムシである。幼虫は第1回5月下旬、第2回7月下旬、第3回9月下旬を中心に発生する。ふ化幼虫は葉裏や繁った内部に多く寄生する。
かんきつ類 害虫 イセリアカイガラムシ
(ワタフキカイガラムシ)
半翅目 Icerya purchasi Cottonycushion scale, Fluted scale
 雌成虫は楕円形で全体暗橙黄色で背面は白いロウ物質におおわれている。年2〜3回の発生。幼虫は、新しい葉の裏の主脈に沿って寄生するものが多いが、育つにつれて枝に移って成虫になる。直接の吸汁害のほかにすす病を併発し、樹勢を弱らせる。
かんきつ類 害虫 ナシマルカイガラムシ
(サンホーゼカイガラムシ)
半翅目 Comstockaspis perniciosa San jose scale
 幼虫で越冬。年3世代。1世代は5月下〜6月中旬、2世代は7月下旬ごろ、8月上旬ごろがもっとも多い。3世代は着色期。淡褐色または濃褐色の直径1.5mm前後のマルカイガラムシで円形、雄成虫は長円形。樹幹、枝に多数寄生し、樹液を吸収し、樹勢を低下させる。果実につくと濃緑色の斑点が残る。
かんきつ類 害虫 ルビーロウムシ 半翅目 Ceroplastes rubens Red wax scale
photo 年1回の発生。雌成虫で越冬し、5月頃から産卵が始まる。1令幼虫の発生最盛期は6月上旬〜7月上旬で、9〜10月に成虫に発育する。小枝や葉に寄生し、すす病を誘発する。
かんきつ類 害虫 ツノロウムシ 半翅目 Ceroplastes ceriferus Indian wax scale
 年1回の発生。雌成虫で越冬する。1令幼虫の発生最盛期は6月上旬〜下旬で、9〜10月に成虫になる。主に小枝に寄生し、すす病を誘発する。
かんきつ類 害虫 コナジラミ類 半翅目   Whitefles
   ○ミカントゲコナジラミ   Aleurocanthus spiniferus Citrus spiny whitefly
photo 幼虫は偏平楕円形で黒くて周縁が白い。蛹殻は1mm強で1年4世代を繰り返し、老熟成虫で越年する。天敵としてシルベストリコバチがある。
   ○ミカンコナジラミ   Daileurodes citri Citrus whitefly
 幼虫が偏平楕円形で淡黄緑色を呈する。蛹殻は1.4mmぐらいで1年3世代を繰り返し、蛹で越冬する。天敵には寄生菌がある。両害虫とも葉裏に寄生し、吸汁害を与えるとともにすす病を誘発し、樹勢を弱らせる。
かんきつ類 害虫 ミカンクロアブラムシ 半翅目 Toxoptera citricidus Tropical citrus aphid
photo 主として新梢や葉に寄生するが、緑枝や果梗部にも寄生して養液を吸収し、また排泄物が下枝にかかってすす病を併発する。さらにトリステザウイルスの媒介虫である。年間10数世代の発生をくり返すが実害の大きいのは、春、夏枝の発生期である。このはかにユキヤナギアブラムシ(ミカンミドリアブラムシ)、ニワトコフクレアブラムシ、ワタアブラムシなど数種が寄生する。
かんきつ類 害虫 クワゴマダラヒトリ リン翅目 Spilosoma imparilis Mulberry tiger moth
 成虫は年1回の発生で、8月中旬〜9月下旬に現れる。葉上に産卵し、ふ化後、若令幼虫はかんきつ園へ移動し、果実や葉を食べる。12月には大部分の老熟幼虫が地表におりて越冬する。越冬後の幼虫は4月中旬頃からかんきつの樹上にのぼって新芽を食い荒らし、5月上旬には花蕾を食害する。
かんきつ類 害虫 ミカンハモグリガ リン翅目 Phyllocnistis citrella Citrus leafminer
photo 年6〜10回の発生。幼虫は若木の若葉に食入し白筋の曲線状に葉肉を食害潜行し、葉は変形する。夏枝、秋枝に食害が多い。かいよう病の発生を促す。幼虫は偏平、淡緑色、育ち切ると体長3〜4mmとなる。
かんきつ類 害虫 ハマキガ類 リン翅目   Leafrollers
photo 茶の害虫」の項参照。チャハマキ、コカクモンハマキなどがある。
かんきつ類 害虫 ミカンハダニ ダニ目 Panonychus citri Citrus red mite
photo 卵、幼若虫、成虫に書く発育段階で越冬する。4〜5月頃から増殖し始め、7〜8月と10〜11月の年間2回の発生の山がみられる場合が多い。葉の加食部分は葉緑素が失われて、葉全体が白いカスリ状となる。被害の大きい葉は冬季に落葉する。また、果実への加害は着色や品質を悪くする。
かんきつ類 害虫 ミカンサビダニ ダニ目 Aculops pelekassi Pink ciyrus rust mine
 成虫は0.12mm位のクサビ形、淡黄色のダニで果実の表面に多数寄生して樹液を吸収し果面を褐色にする。未熟な果実は灰色っぽくなりしなび、落果することもある。若葉では変形し、シワを生じ、葉裏の葉脈が褐色になる。年10数世代をくり返し、晩夏から秋に高温乾燥が続くと多発する。
かんきつ類 害虫 チャノキイロアザミウマ アザミウマ目 Scirthrips doralis Yellow tea thrips
photo 4〜11月までに8〜10回発生。蛹または成虫で地表部の落葉内や、ごく浅い土中で越冬する。4〜5月は主に茶やその他の植物の新芽で生活し、かんきつには6月上旬頃幼果へ飛来する。その後10月まで果実で世代をくり返す。
かんきつ類 害虫 ゴマダラカミキリ 甲虫目 Anoplophora malasiaca White-spotted longicorn beetle
photo 1世代に1〜2年かかり、樹幹内に幼虫で越冬する。5月下旬〜6月中旬に成虫が羽化し、6月中旬〜7月中旬にかけて産卵する。幼虫のふ化は6月中旬〜7月中旬に多くなり、はじめは樹皮下を食害し、以後発育するにしたがって、次第に樹の内部に入り、木質部まで食害する。

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