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いね(Rice)

【害虫】わが国の稲の害虫は多いが、全国的に発生し、防除を必要とする害虫の種類は30〜40種とされている。
〔苗代期〕キリウジガガンボ、ケラ、ユリミミズ、イネキモグリバエ、ツマグロヨコバイ、ウンカ類、イネカラバエ、イネドロオイムシなど
〔本田生育期〕ニカメイチュウ、イネドロオイムシ、イネハモグリバエ、イネゾウムシ、ツマグロヨコバイ、ウンカ類、コブノメイガ、イチモンジセセリなど
〔出穂期〕ニカメイチュウ、ツマグロヨコバイ、ウンカ類、ヨトウガ類、イネカラバエ、イナゴ、カメムシ類(斑点米)などが主な害虫である。陸稲の害虫としてはネアブラムシ、ケラなどがある。

作物 病害虫 病害虫名 学名 英名
  発生と生態
いね 害虫 ニカメイチュウ(ニカメイガ) リン翅目 Chilo suppressalis Asiatic rice borer, Rice stem borer
photo 稲株やわら、そのほかのところでも老熟幼虫で越冬し、春季にさなぎとなる。第1世代のガは7〜10月おもに8月中旬に発生する。老熟幼虫は体長20mmくらい、淡褐色で褐色の縦縞が5本走っている。成虫は体長15mmくらいの灰白色のガで、前翅はやや細めで角張っている。
いね 害虫 コブノメイガ リン翅目 Cnaphalocrocis medinalis Rice leafroller
photo 越冬態は未確認、飛来説もある。北海道では年2回、九州では年4回発生することが多い。成虫は6月〜10月にかけて発生し、被害はたいて出穂期ごろから後で、葉をタテにつづって巻き合わせて、その中で活発に動く。体長は約14mm緑色。オスの成虫は羽の前縁近くに黒い毛のかたまりをつけ、コブのように見えるので、コブノメイガという。
いね 害虫 フタオビコヤガ(イネアオムシ) リン翅目 Naranga aenescens Green rice caterpiller
photo 若令幼虫はドロオイムシに似た被害を出すが、3令以後は葉を縁から矢ハヅ状に食い、終令幼虫は中脈だけを残して食うので、稲株はササラ状になることさえある。幼虫は緑色でシャクトリムシ状の歩き方をし、育ちきると体長20〜22mmぐらいとなる。
いね 害虫 イチモリンジセセリ(イネツトムシ) リン翅目 Parnara guttata Rice skipper
photo 年に3〜4回発生する。イネ科雑草虫で、幼虫体で越冬する。第1回成虫は6月から発生する。稲に最も大きい被害を与えるのは、8月に発生する第2世代幼虫で、葉を1〜数枚あわせてツトをつくり、この中にいて食害する。老熟幼虫は3〜4cm、紡錘形で、淡緑色である。
いね 害虫 イネカラバエ(イネキモグリバエ) リン翅目 Chlorops oryzae Rice stem maggot
 いね科雑草の茎内で幼虫態で越冬し、3化地帯では5月中〜下旬、2化地帯では6月上〜中旬に第1回成虫が発生し、傷葉を形成する。3化地帯では7月上〜下旬に第2回成虫が発生し、幼穂形成期に幼穂を食害するので、傷穂となる。幼虫は白色透明なウジで、成虫の体長は2.5mmの黄色のハエである。
いね 害虫 イネヒメハモグリバエ(イネミギワバエ) 双翅目 Hydrellia griseola Smaller Rice leaf miner
photo おもに北海道、東北地方などの寒冷地の害虫であるが、西日本の高冷地にも発生する。本田初期に幼虫が葉肉を線状(灰白色)に食害する。被害はたれ葉や浮び葉に多く水の溜まっている所に多発し、被害株は苗ぐされ状になる。幼虫は長さ4mmぐらいの白色のウジで成虫は2mmぐらいの青灰色のハエである。
いね 害虫 イネハモグリバエ 双翅目 Agromyza oryzae Rice leafminer
 北海道、東北、北陸、山陰に発生し、幼虫は葉内にもぐって葉肉を食害し、葉片を袋状にするので、稲の成育前半期に当たる幼虫の害はかなりの被害を出す。成虫は2〜3mmの黒いハエである。
いね 害虫 カメムシ類 半翅目   Stink bugs(斑点米、黒蝕米)
photo トゲシラホカメムシ、ホソハリカメムシ、コバネヒョウタンナガカメムシ、ナガムギメクラガメなど20種以上が、斑点米の原因になることが知られている。カメムシ類は出穂期から水田に飛来しはじめ、乳熟期に最高になり、糊熟期には減り始める。
いね 害虫 ツマグロヨコバイ 半翅目 Nephotettix cincticeps Green rice leafhopper
photo 本田付近の雑草内で幼虫態で越冬し、苗代期に集まり、葉液を吸収する。このため苗代や田植直後に稲が黄色になりことがある。本田では出穂期から乳熟期に幼穂を加害するため、不稔粒やシイナが多くなる。これらの直接害のほかに萎縮病、黄萎病を媒介する。幼虫は細長く黄褐〜黒褐色で縦に2本の黒線があり、成虫は体長5〜6mmの緑色のセミのような形をし、雄の翅先は黒または褐色である。
いね 害虫 ヒメトビウンカ 半翅目 Laodelphax striatellus Small brown planthopper
photo 暖地では5〜6世代、寒地では3〜4世代を繰り返す。普通幼虫態で、雑草中で越冬し、3〜5月に成虫となり、苗代に集まってくる。稲縞葉枯病、黒条萎縮病、麦類北地モザイク病を媒介する。幼虫は淡灰色で水に落ちると後脚を八字形に開く。成虫の翅は透明淡褐色、体長は約3〜4mmで、雄はさらに小形である。
いね 害虫 セジロウンカ(ナツウンカ) 半翅目 Sogatella furcifera White-backed rice planthopper
photo 第1回7月上中旬、第2回8月上中旬、第3回8月下旬を中心に発生が目立つ。幼虫の胸部及び腹部の背面に黒い雲状斑が多く、相当大きくなった幼虫では頭頂が突出ている。成虫の体長は4〜4.5mm、胸背に黄白色の斑紋があり、短翅の雄は緑褐色である。稲は集団的に枯れ、すす病を併発する。
いね 害虫 トビイロウンカ(アキウンカ) 半翅目 Nilaparvata lugens Brown rice planthopper
photo 9〜10月に発生が目立ち、被害田は坪枯れ状となる。ウンカの被害は急に白く枯れ、株元からよじれたように倒れるので、ニカメイチュウの被害と見分けられる。幼虫は丸味がありトビ色で、水際に棲息し出穂期の稲を加害する。成虫の体長は4〜5mmで暗褐色、雄の方がやや小形である。
いね 害虫 イネドロアオイムシ(イネクビボソハムシ) 甲虫目 Oulema oryzae Rice leaf beetle
photo 北方系の害虫で、北海道、東北、北陸、山陰およびその他の地方の山間地帯に多い。年1回の発生で、5月下旬ごろから水田に現れる。この害は稲の生育前半期であり、ひどい時は焼かれたように見える。幼虫は体長5mm位で背中に糞をつけており、成虫は4〜5mm、翅は青藍色、胸と脚は黄褐色の甲虫である。
いね 害虫 イネゾウムシ 甲虫目 Fchinocnemus squameus Rice curcurio
 年1回の発生、加害最盛期は6月ごろで、成虫は灰褐色5mmぐらいの甲虫。被害の様子は、苗の芯を食べたり、軟葉が食孔され、被害株は芯止まりとなって草丈の低い奇形発育をする。被害のひどいものは枯れる事もある。葉を食い切られた株でも後から葉を出して、盛夏のころは回復した様に見られるが、有効穂数も粒数も少なくなり減収する。
いね 害虫 イネミゾウムシ 甲虫目 Lissorhoptrus oryzophilus Rice water weevil
photo 成虫は体長約3mm、体色は灰褐色、背面に黒色の斑紋があり、イネゾウムシより小形である。越冬成虫は畦畔のネザサ、チガヤ、ススキなどを摂食し、稲が栽培されると稲に移り葉を食害して5〜6月に産卵する。卵期間は約8日で、ふ化した幼虫は根に食入して稲の根部を食害する。幼虫期間は約30日で、幼虫は根に土繭を作りその中で蛹化する。(蛹期間約7〜14日)新成虫は土繭を破って地上に現れ、稲の軟らかい葉を食害するが、間もなく畦畔、土手などへ移動し、イヌビエ、チガヤ、メヒシバなどを摂食する。これら越冬場所への移動は7月下旬より始まり8月下旬には完了する。
いね 害虫 イナゴ類 直翅目 Oxya yezoensis, Oxya japonica Grass hoppers
photo 長い間発生が少なかったが、近年増加している。年1回の発生で、土中に産付された卵で越冬する。6月にふ化し、6月下旬から目につく。発育の速い固体は7月下旬から成虫になる。体長はコバネイナゴが26〜30mm、ハネナガイナゴが25〜33mm、全体に淡緑色。
いね 害虫 ケラ 直翅目 Gryllotalpa africana African mole cricket
 成虫態で日当たりの良い土中に越年し、4月ごろから活動し始め、5〜7月に産卵する。土中食害も多いが、潜土害の方が大きい。加害は夜間が多く、降雨時に活動がいちじるしい。
いね 害虫 イネシンガレセンチュウ ハリセンチュウ目 Aphelenchoides besseyi Rice white-tip nematod, Spring bwarf nematod
 形態は雄雌ともに線状で、体長は0.5〜0.7mm種籾、籾がら内で越年、種苗の生長点付近でか加害し、出てくる葉の先端は白く枯れてよじれている。止葉か、その下2〜3葉に多く現れている。株は濃緑色で葉、草丈が短く無効分けつ、シイナが多くなる。
いね 害虫 スクミリンゴガイ(俗称ジャンボタニシ)   Pomacea canaliculata Apple snail
 熱帯、亜熱帯の淡水、汽水域に分布する巻貝の一種。螺層は五層、右巻き、殻口は広く大きく有蓋。殻の色は黄褐色〜黒褐色で10〜15本の色帯を有す。水中で活動中は殻高の長さを上回る長い1対のムチ状の触角とその内側先端部の口器両面に短い1対の触角を有す。在来のマルダニシは触角が短いので識別できる。水上部の植物の茎、水路壁、その他に産卵し、卵塊は径2mm前後の塊で、卵の全体は楕円形〜長楕円形で鮮紅色〜淡紅色、卵塊は特有の色彩により生息の有無がわかる。寿命は3〜5年とされている。

いねむぎ類いちごうめうり類かきかんきつ類くりトマトなすピーマンなしぶどうりんごももあぶらな科野菜ねぎ類レタスまめ類ばれいしょかんしょちゃたばここんにゃくてんさい(ビート)くわその他
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